地蔵盆にさえ行けたら、あとはお魚食って帰ってもいいんです。※個人の感想です。

地蔵盆にさえ行けたら、あとはお魚食って帰ってもいいんです。※個人の感想です。

初対馬が、運命の7月24日

生まれて初めて対馬へ行った日が7月24日、地蔵盆の日でした。朝から天候不良で飛行機が飛ばなくなり、急遽船で対馬へ向かうことに。厳原のホテルで一息ついた後、では地蔵盆見物にと外出。まだ夏の陽が残る夕方、ホテルの近くでも地蔵盆らしき賑わいをちらほら感じることができました。

最初にスマホで写真を撮ったのが、お寺の外壁に並んでいた提灯の灯り。それからお化粧したお地蔵さんもパチリ。地元の皆さんに倣ってお賽銭を入れて手を合わせると、箱を抱えた少年が照れくさそうに寄ってきて「どうぞ」とお菓子をくれるのです。ありがとう!

私、よほどお酒を飲みたそうな顔をしていたんでしょう。ご住職が「どーですか?」と缶ビールを勧めてくれました。え? いーんですか? 遠慮のかけらも示さず、ありがたくシュパッ! 不謹慎な気もするけどビール片手に歩きだすと、次のお寺はすぐ近く。ほんとにお寺がいっぱいある街なんですね。お寺だけじゃない。商店の軒先や街角、あちらこちらにお地蔵さんがいらっしゃいます。

行く先々でお参りしてお菓子をいただけるんですが、手作り感のある御札が添えられているんです。シワにならないよう、そっとバッグに入れながら「クリアファイル持ってくればよかったー」と思ったり。途中、飲食店ビルのレトロな看板や気になる居酒屋とか眺めながら、地蔵盆を楽しむうちに厳原の中心街は、ほぼ頭にインプットできてしまいました。

経済で動かさない世界

オレンジ色の温かい光が灯る地蔵堂の中で遊ぶ浴衣姿の子どもたち、川にかけられた無数の提灯の光が川面に揺れる風景、フォトジェニックだけじゃない、なんだろう?今まで感じたことのない、この穏やかなお祭り感。同行者から「祭りなのにテキヤが入ってないからじゃないすか?」と言われて「なるほど!」と納得。いや、テキヤさんが作ってくれる賑わいも大好きなお祭りシズルなんです。イカが焼ける匂いとか、射幸心をくすぐるくじ引きとかね。でも、地蔵盆では派手な仕掛けも音楽もなく、聞こえてくるのは人々の和やかな会話とか子どもたちの歓声くらい。  ちょっと偉そうに考察すると、このお祭り、経済で動かしていないと思うんです。街の人たちの純粋な信仰心が動かしているお祭りではないかと。仕事では数字に追われ、私生活ではいくつものサブスクに縛られ、経済の海に溺れて生きている私にとって、この「経済からの解放」が心地よいんだろうなー。

ご住職のガイドで、よりディープに地蔵盆三昧

卵から孵ったばかりのヒヨコが最初に目にしたものを最愛の母と思うように、私にとっての対馬の魅力の真ん中は、地蔵盆になってしまいました。あとお魚を食べることができれば、個人的には、それだけで対馬へ行く価値があります。

 福岡へ帰ってからも「絶対、来年の地蔵盆も!」と決意し、いかに素晴らしい祭りであるか、あちこちの飲み屋で布教活動を行いました。努力の甲斐あり、「地蔵盆ズ」というグループをつくることができ、一年後の7月24日も仲間と対馬へ行くことができました。

 しかも、こんどはお寺のご住職のガイド付き! ご住職の引率と言っても、堅苦しさは一切なし。途中でビール買ってもオッケーだったし。ギャグを交えながら、わかりやすく歴史的なことも教えていただきながら、のんびり街歩き。地蔵盆を楽しむコツは観光客じゃなくて地元の人になったつもりで、行き交う人たち交流することだそうです。ご住職が同行しているおかげで、街の人たちとも気楽にふれあうことができました。

 来年も地蔵盆に行きたいなー。命の洗濯になるんです。一年に一度くらいは、こんな時間を過ごさないと、人生がシミだらけになってしまいそう。以上、偏執的に地蔵盆を愛するオッサンからの報告でした。

手島裕司
Profile

手島裕司

熊本、福岡あたりで広告とかつくってます。普通なら定年な年頃ですが、貯金がないので働き続けています。以前は島といえば沖縄派だったのですが、近年屋久島や対馬へ行って島ランキングが激変。現在、3位沖縄のどこか、2位屋久島、そしてパンパカパーン! 第1位が対馬です!

Contactお問合せ先

一般社団法人 対馬観光物産協会
https://www.tsushima-net.org/
0920-52-1566

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