夏休みの里山遊びで、昆虫トラップを仕掛けて夜ないし明け方採りに行く楽しみは、大人も子供も胸が高鳴る夏の思い出の一コマです。昨今、カブトムシやクワガタなどは道の駅などでも売られていたり、商業施設で開催されている昆虫イベントで触れる機会はあるものの、セミなどとは違って、公園や家の庭先で遭遇する機会は少なくなったのではないでしょうか。
対馬の夏の夜。市街地から離れた里山にある雑木林へワープすると、そこは虫たちの楽園・・樹液が出ているクヌギやコナラの木々にそっと灯りを照らすと、カブトムシたちが数匹、ワイワイ集っている姿を見ることができます。
訪れたのは、ツシマヤマネコの出現率の高い上対馬エリアの佐護平野界隈。椎茸の森や田園風景が広がる美しいエリアで、夜はしんと静まり返る、まるで絵本の中に出てくるような生き物だけの世界です。田圃道の先にある林の中に行ってお目当てのクヌギ、コナラを探し歩いていると・・・カサカサと動く虫たちの音とともに、黒い昆虫の姿を発見。同じ木に大きなカブトムシとクワガタが3匹。羽ばたいて逃げることなくじっと木の上にしがみついていました。
カブトムシを1匹見つけると、その上にまた1匹、よく見てみるとツシマヒラタクワガタ。環境が抜群なのかサイズも大きい。
目線の高さに止まっている場合は、捕虫網が無くても手でそっと捕まえることができます。蝉のようにすぐには飛び立ちませんが、細い足で素早く逃げていくのでタイミングが肝心です。
漆黒の夜の森の中、漆黒の虫たちを探すワクワク感。他にも、未知の生き物が棲んでいるかもしれないと想像を膨らませながら、用水路の脇や草むらの細い道を歩く緊張感。
日中の明るさでは気づかなかった森の匂いや生き物、虫たちの気配を感じながらの雑木林探検は、夏の記憶として胸に刻まれるでしょう。
対馬は9割が森林に覆われた島。里山の雑木林で、ツシマヤマネコ探しも兼ねて夜の散歩をしてみてはいかがでしょうか。山の麓のどこかで不思議な生き物との出会いがあるかもしれません。
※土地所有者等の許可なく入林、トラップの設置、昆虫採集をするのはおやめください。
(対馬感考案内人F)