
-ツシマヤマネコー。ヤマネコという名前が、広大な対馬の森の奥深く。いくつもの野と山を越えた先に棲むというイメージを想起させます。ところが、意外や意外。先日、NHKの「ダーウィンが来た」で放送された姿は、こうしたイメージを大きく覆すものでした。
田んぼに繋がる水路の中を悠然と歩いたかと思えば、時には、幅2mはあろうかという水路を飛び越える姿が捉えられ。驚いたことに泳いで魚を採ったり、時には、田んぼの稲に身を隠して自分よりも大きな鳥の捕獲に挑む姿まで。番組をご覧になった方は、普通のネコにはない雄姿に感激されたのではないでしょうか。ツシマヤマネコは、東南アジアから中国北部、朝鮮半島などにかけて広く分布するベンガルヤマネコの亜種で、大きさはイエネコと変わりませんが、愛くるしさの中に、気高い風格がどことなく感じられます。実は、島で暮らす人でさえ、普段目にしたことがないという人がほとんどなのですが、映像からは、島民の生活のすぐそばにいるヤマネコの姿を感じることができました。
1984年以降、下対馬地域では生息の痕跡が確認できなくなり、1998年以降環境省が発表するレッドリストにおいては、最も絶滅の危険に瀕している「絶滅危惧ⅠA類」に分類され続けており、現在は70頭~100頭前後と推定されています。
国や自治体、さまざまな組織や団体、島民が協力して、保護増殖に向けた取り組みが進められています。近年、下対馬での生息痕跡が確認されるようになるなど、明るい兆しもありますが、依然として生息頭数は減少傾向にあり、気候変動などによる生態系への影響も危ぶまれており、今にも姿を消してしまうかもしれない存在なのです。
そんなツシマヤマネコへの理解と共感を広げる日が、10月8日の「#ツシマヤマネコの日」。別名「とらやま」の語呂合わせにちなみ、全国の動物園や施設でイベントが行われますが、対馬でも今週末10月11日(土)に「とらやま祭り」が開催されます。
当日は、調査で使う自動撮影カメラを実際に操作できる体験や、発信機を追って野外で調査員気分を味わうプログラム、飼育員によるバックヤードツアーも開催される年に1度しかない貴重なイベントです。
野生と人との境界線を見つめ直す一日。このイベントが、ヤマネコと人、そして未来の命をつなぐ一歩となることを願っています。
(対馬感考案内人M)

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(イベント内容詳細)
★自動撮影カメラ体験
ツシマヤマネコの調査に使っている自動撮影カメラを実際に使ってみよう!撮影した野生のヤマネコ写真もお見せします!
★野外調査体験(雨天中止)①11:00~12:00 ②14:00~15:00
ツシマヤマネコを追跡している機械を使って実際に発信機を探してみよう!
★バックヤードツアー ①10:30~11:30 ②13:30~14:30
ツシマヤマネコを飼育している飼育員さんに施設を案内してもらおう!
★ツシマヤマネコ交通安全ポスター展 表彰 15:30~16:00
今年度のポスター展の最優秀作品と優秀作品の受賞者を表彰します!
他にも
・工作体験1 プラバンづくり
・工作体験2 石お絵かき
・骨格パズルに挑戦
・ヤマネコのキャラクターぬりえ 
などを行う予定です!
この件についてのお問い合わせは対馬野生生物保護センター(0920-84-5577)までご連絡ください。