豊かさって何?を考える対馬での農体験

豊かさって何?を考える対馬での農体験

暑さ厳しい夏が過ぎ、そして食欲の秋がいよいよ到来。食の愛好家にとっては、待ちに待った季節です。国境の島対馬では、ツシマヤマネコが棲む佐護平野をはじめとする稲作地帯で、特有の寒暖差に育まれた新米が収穫の時期を迎えます。粒立ちがよく艶やかで香りと味わいは格別。ツシマヤマネコの生育環境に配慮した減農薬栽培の賜物です。

山では森のアワビとも称される肉厚なシイタケの収穫が始まり、畑では対馬の暮らしを支えてきたサツマイモが掘り出されます。果樹園では梨や蜜柑が色づき、海ではハガツオやサバが脂をのせる。日本って素晴らしいと思える、海と大地の豊かな恵みに顔がほころぶ季節です。

コリっとした食感、肉厚な森の鮑
肉厚でとろける美味しさの刺身

山々に目を向けると、夏の緑が少しずつ変化して、刈安色から尾花色、朱みを帯びた一位色へ。朝晩のひんやりした空気に秋を感じ、長かった夏の終わりにほんの少しもの淋しさを感じながらも、豊穣に想いを寄せます。

そんな対馬の秋を深くじっくり満喫できるのが、農家での民泊です。単なる宿泊ではなく、農作業に加わり、収穫した食材を台所で調理し、囲炉裏や食卓を囲んで語り合う。そこには、都会の暮らしで忘れがちな「人と人との距離の近さ」が息づいています。

農家の方の知恵を学び収穫に参加
自然の尊さを体感、お米の大切さを学ぶ

便利さと引き換えに喧騒や時間の速さに追われる日常から一歩離れ、汗をかき、土の匂いに包まれながら野菜を育てる。それはまさに、「豊かさとは何か」を考える機会そのもの。採れたての米や野菜、海の幸に恵まれた食卓は、派手ではないけれど、滋養に満ちた真のごちそうです。自然とともにある暮らしの知恵を知って、親交するひとときは、都会暮らしでは得ることのできない、宝物と呼べる時間になります。

秋は、とりわけこの体験にふさわしい季節。実り豊かな食材と燃えるような紅葉、そして静かな島の暮らしが、訪れる人を迎えてくれます。次の旅先に、心をほどく対馬の農家民泊を選んでみてはいかがでしょうか。

(対馬感考案内人F)

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