立春が過ぎ、雛の節句の支度を始める頃。三寒四温を交えつつ、春の足音を僅かながら感じられるようになってきました。毎年この時期に、楽しみにしている行事が・・・そう。「酒蔵開き」です。ここ対馬でも、唯一の造り酒屋「白嶽酒造」にて、来たる3月中旬に蔵開き祭りが開かれます。

酒蔵開きは、桜の便りが待ち遠しくなる頃、日本各地で新酒の完成を祝して開催されますが、対馬の日本酒愛好家にとっても待ちに待った日となります。なお、今年は「みつしま春まつり」と題して、観光物産協会主催の物産市も同時開催され、いっそう賑やかな催しになりそうです。
先ずはなんといっても、この日の醍醐味、搾りたての生原酒を味わう。立ち上がるフレッシュな口当たりは、まさにこの日、この場所限定の瑞々しい味わいです。これぞ春の訪れ、思わず頬が緩みます。普段は入ることのできない蔵の中を見学でき、蔵人や杜氏の方々の酒造りにまつわるお話を伺うこともできて、お酒好きには嬉しいひととき。利き酒を通して、それぞれの個性を知ることで、一層マリアージュを楽しみたくなります。

ところで、対馬の地酒が特徴的で美味しい理由は何でしょう。それは、100年以上の歴史を誇る、この蔵の立地にあるのです。地酒の要となるのが水。白嶽酒造は霊峰・白嶽のふもと、下対馬エリアの雞知にあり、仕込み水は地下約10メートルから伏流水を汲み上げます。銘柄「白嶽」は、その聖なる山から頂いたもの。清らかな水に恵まれたからこそ生まれる、甘口で澄んだ味わいです。

対馬は海に囲まれた島。潮の香り、豊かな魚介、そして澄んだ水。その風土の特徴が丸ごと、この一本にぎゅっと詰まっているのです。旅で訪れる皆さんにも、ぜひこの季節に合わせて足を運んで、しぼりたての極上の一杯を味わっていただきたい。春の対馬を旅するなら、この蔵開きの日に合わせてみませんか。新酒の香りとともに、職人さんたちの熱い精神や、地域の方々の笑顔に触れることができる、思い出深い1日になるはずです。
(対馬感考案内人F)
〈イベント概要〉
[みつしま春まつり]
・日程:2026年3月15日(日曜)10:00〜15:00
・場所: 白嶽酒造株式会社(長崎県対馬市美津島町鶏知甲490-1)・近隣店舗駐車場
・内容:利き酒、酒蔵の見学/新酒・限定酒販売: しぼりたて、限定商品の販売
・主催:みつしま春まつり実行委員会(後援:対馬市・対馬振興局・対馬市商工会・対馬観光物産協会)
・対馬交通1日フリーパスポートでご来場の方に利き酒当て(参加費500円)をサービス!