白く輝く、霊峰・白嶽

白く輝く、霊峰・白嶽

対馬のシンボル・白嶽(しらたけ)は、登山口から山頂までの距離2.2キロ。約1時間半で到達する石英斑岩(せきえいはんがん)の白く輝く双耳峰(そうじほう)が特徴の標高518mの山です。国境の島ならでは、道中では大陸系と日本列島系の植物が登山者の目を楽しませてくれます。この特異な植物分布により、山頂付近の原始林は国の天然記念物に指定されています。その他「九州百名山」「日本百低山」(山と溪谷社)にも選定されています。「選ばれるからには、魅力がある。推すからには理由がある。」現地でのWOW!を先取りしない程度に、山好き筆者の思う見どころをご紹介します。

海抜ゼロから歩く、飽きない登山道

標高518mと聞くと「ほうほう、高尾山ぐらいのハイキングだね。」と思われるかもしれませんが、侮ることなかれ。白嶽はほぼ海抜ゼロからの登山なのです!気を引き締めていきましょう。まず登山口から30分は、渓流沿いの緩やかな林道を歩きます。

日々の慌ただしさを忘れて、鳥の声や風の音、川のせせらぎや木々の葉音に耳をすましながら道を抜けると、いつの間にか辺りには巨石が姿を現します。島全体が岩がちで土の層が薄い対馬では、木の根っこが大きな岩に必死にしがみついている姿や、倒れまいと根を発達させた姿も多く見られます。また比較的水の少ない渓流沿いには、巨石に絡んだ根が水を求めてストロー状に真っ直ぐ伸びている姿も見られます。

決して豊かとはいえない環境でも、工夫を凝らして強く生きようとする生き物のたくましさに胸を打たれます。

しばらくすると、ひときわ大きな巨石が見えてきます。

「行者の岩屋」です。

白嶽はかつて修験道・山岳信仰の対象となっていた霊峰です。山中で修行する行者がここに寝泊まりしたといわれています。世界的に見ても稀という日本の「山への信仰」は、国土の約7割を山林が占める山岳大国である故と言われています。日本人には、山が人の生活の場とほどよい距離にあり、祈りの対象として、心の拠り所として、知らず知らずに親しみを抱いているそうです。みなさんにも思い浮かぶ山がありますか?ちなみに、対馬の山林の割合は約9割で、「山」にはより強い恐れと敬いの思いが古くからあったようです。

さて岩屋で一息休憩したら、いよいよ鳥居が見えてきます。

ここからが信仰のおかげで斧が入らず守られた原始林の入り口です。明るかった林道とは違い、鬱蒼とした照葉樹の森が広がります。と同時に、傾斜も厳しくなっていきます。つい下を向きがちになりますが、ここは息を整え、ぜひ貴重な原始林の清々しい空気を味わってください。そのうち、だんだん山頂付近の白い岩が「こっちだよー!」と顔をのぞいてくれます。そして、石積みがある小さな広場に着くと、そこは分岐です。斜面を登ると山頂、平坦な奥の道を1分ほど歩くと岩のテラスです。

山頂は10人ほどしか滞在できないほど狭く、また強風が吹くので、昼食はここ岩のテラスでとるのがおすすめです。

いざ山頂に向かって、斜面を登り鞍部を越えると、右手下が雌岳、左手上が雄岳です。雌岳は下腹部に亀裂があり、その洞窟に神が祀られており、大変神聖な場所です。登ることはできません。

ここでは旅の安全を祈願し、いよいよ山頂(雄岳)を目指しましょう。最後の難所です。飽きない登山道のクライマックスは、軽ロッククライミングです。ロープや鎖はありませんので、登山の基本「三点確保」で慎重に登りましょう。

どきどきハラハラの先には、言葉もいらない絶景が待っています。

「約9割が山林って、確かに!」と頷ける、見渡す限りの緑と、対馬が誇るリアス海岸・浅茅湾(あそうわん)の青が、空と一体となって広がります。天候条件がよければ、雌岳を正面に右手にお隣・壱岐島やその先の九州本土、そして左手には韓国・釜山の山影も見えます。ちなみに筆者は、年間10回ほど登っていますが、4割程度の打率です。(雨女なのに、結構いいほう!)

さて、だんだん白嶽に登りたくなってきましたか?よし、他の山もついでに!という方は、(一社)対馬観光物産協会のWebページより「対馬トレッキングガイドブック」をダウンロードいただけます。

また山の話だけでなく、島暮らしのこぼれ話なども聞けて、ぐっと対馬旅が楽しくなるトレッキングガイドのご予約も強くおすすめします!

それでは最後に、白嶽トレッキング行くぞ!と覚悟を決めた方へ、筆者から宿題です。

神が宿る山として古くから地域に大切にされていた白嶽。今でも「ある人たち」には特別な存在です。それを証明する「ある物」が山頂付近にあります。

その「ある人」と「ある物」を、ぜひ現地で解き明かしてきてください! ヒントは、次の3枚の写真です。

△体力に自信あるよ!という方は、白嶽に登る前日は、シーカヤックが断然おすすめです。

ではでは、よい山行になりますように!対馬でお待ちしております~

村瀨早紀
Profile

村瀨早紀

漁村で生まれ育ち「こんな何もないとこやだ」と島飛び出した15の夜。大都会東京でOL時代を過ごし三十路でUターン。今は魅力に気づき、たくさんの人を「対馬沼」にハメたくて仕方がない、2児の母。最近は釣りスランプで、もっぱら山登りに特化中!

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