世界各国、日本各地へ「釣り」をしに旅をしている私。「釣り」は私にとって生業であり生涯を通してやり続けていきたい楽しみでもある。これまで様々な魚種を釣って魚への感謝や釣りをする土地への文化、人々との交流を大切にしてきました。私の釣りのスタイルは、船に乗り沖で魚を釣るスタイル。エサ釣りではなく、ルアー釣りがメインです。「ルアー釣り」とは擬似餌を小魚に見立てた動きをして「騙す」ゲームになります。このスタイルでマグロやロウニンアジ、ブリ、ヒラマサなどを釣っているのですが、私は生涯追い続けると決めた魚に「ヒラマサ」と公言してきました。
黒潮と東シナ海との分岐から対馬海峡を流れ日本海側に流れていく潮が対馬暖流。長崎県対馬は古くから漁業が盛え豊富な魚種と共に我々「釣り人」にも親しまれてきました。日本各地を釣り歩く私がこの対馬の漁場に魅了され、今なお28年間通い続けているのは「圧倒的なヒラマサの多さ」に尽きる。初めて対馬海域で釣りをした時のロケで発した言葉が「ここは日本のニュージーランドだ」と言ってしまったほど。とにかく釣れるヒラマサのサイズが大きく、また釣れる数が日本各地、他フィールドと比べられない。私が対馬海域の事を「ヒラマサ道場」として位置付けたのは、それ程の素晴らしいフィールドだったからです。対馬海域には四季を通じて年間10回以上通うことを10年続けました。自然相手だから釣れない時もある…しかし、対馬海域には豊富なヒラマサが生息しており、魚は居ても釣れない理由を求めて四季通ったのです。



「ヒラマサ」は一見「ブリ」とても似ている。外見は釣りに慣れていない人は見分けがつかないほど。しかしお刺身などで食べた際に「ヒラマサ」と「ブリ」との差ははっきりする。魚を食するタイミングはシーズンによって身の質感が違ってくる。特に冬場に対馬で釣り、食べる魚は豊かなエサ(イワシなど)を大量に捕食し上質な脂を肉質にひめ、醤油が身から出た脂で載らないほど。

対馬の伝統漁である「カイツケ漁」は11月の寒くなり始めた時期から始まり、お正月の肴として親しまれてきた。ブリやマダイが中でも人気で地元の漁師さんはこれで新年を迎えてきた。近年はカイツケ漁自体が衰退し、漁をしている漁師さんはほぼ見かけなくなったが、カイツケ漁をされている姿は季節を示す風景だったので減っている現状に寂しさを感じたりしています。
カイツケ漁の時期からヒラマサは浅場から深場へと移動して冬に備えます。ブリはどれだけ大きく育っても群れで行動し、ヒラマサは単独での行動になります。だからカイツケ漁での獲物はヒラマサよりもブリになり、漁業として昔は成立していたのでしょうね。
ヒラマサとブリとの大きな違いは「釣りの醍醐味」です。ヒラマサは単独で行動し、自身のテリトリーを持って捕食行動をします。
ブリはたくさんの群れで動き、根などに執着はなく回遊して行動します。「釣りの醍醐味」は魚を掛けてからのやり取り。擬似餌と呼ばれるルアー(メタルジグ)をイワシなどの動きに模して操作しヒラマサやブリを狙うのですが、ヒラマサはヒットしてから自身のテリトリーに戻ろうとするのが強く引き「釣りの醍醐味」を増すのです。ブリも引きは強いですが、ヒラマサとは比べ物になりません。見た目は一見わからない程似ている魚種ですが、釣った(掛けた)時の強さがヒラマサは半端なく強いので「釣りの醍醐味」を求めるアングラーからの憧れになるのです。瞬発的な動きがヒラマサ。モタモタと重い動きがブリ。こうした魚種の特徴が食べた際の身の違いも現れ、我々食の好みも分かれるのでしょう。

ヒラマサ、ブリは一年を通して対馬で釣れ続きます。個体差はシーズンにより身の旨さなどの違い、サイズなどの違いもありますが、これほど豊かな環境で一年中ヒラマサ釣りを楽しむことが出来るエリアは他にありません。シーズン的には大型を狙うのは冬から春にかけてが一番面白い時期になります。GWを過ぎた辺りからヒラマサは産卵となり、小型しか口を使わなくなります。真夏、産卵を経て大型のヒラマサは再び体力を整えるため捕食行動が始まります。ルアーで狙うシーズンは梅雨時期以外がハイシーズンですね。また秋はヒラマサだけでなく、他魚種も多くヒットし様々な釣りが楽しめるのも対馬の良さです。まさに「釣り天国、対馬」の名に相応しいフィールドなのです。


「対馬の魅力は?」と問われたら私はすかさず「ヒラマサの多さ」です、とはっきり言い切れます。これだけ国内でヒラマサを求めて釣り歩いてきた私が魅了されっぱなしであり、これ以上のヒラマサフィールドは他にない、と思っています。
是非釣りに興味のある方は、対馬ヒラマサの世界を検索してみてはいかがでしょうか。
愛知県名古屋市出身 神奈川在住 プロアングラー、
K-FLAT代表
『長崎県対馬をメインにヒラマサを追い求める…国内外年間釣行210日間を10年続けてきました。』