アニメ『アンゴルモア 元寇合戦記』やゲーム『Ghost of Tsushima』の影響で、近年では国内外から聖地巡礼に訪れる人が増えている下対馬エリア・厳原町の小茂田浜神社。この地で年に1度、11月に開催される慰霊祭「小茂田浜神社例大祭」をご存知でしょうか?歴史の教科書でも馴染みのある「元寇」。1274年、1281年の二度にわたって、元軍の侵略から日本を守り抜いた歴史的事件として、誰もがその言葉を耳にしたことがあるはず。壮絶な蒙古軍襲来の地は、九州北部沿岸と記憶されている方も多いと思いますが、その最初の舞台となったのが、対馬の小茂田浜なのです。
文永11年(1274年)、元・高麗連合軍の襲来「文永の役」で、対馬の地頭代「宗資国(助国)率いる対馬勢は、わずか80余騎(人数にして300名~400名と推定)で約3万の蒙古軍を迎え打ちます。とてつもない兵力差の軍勢に対して矢面に立ち、最後の最後まで果敢に戦い全滅しました。その勇姿は対馬の守神として語り継がれ、750年以上経った今でも、英霊を慰めるために地域の方々が一体となって、この祭が執り行われています。

国境の島である対馬が、最前線でこの凄まじい戦いに立ち向かったことを、どれだけの日本人が知っていることでしょうか。果敢に挑んだご先祖様に深い感謝と熱い誇りを抱き続ける対馬の人々。その精神文化に、島の外から訪れる私たちは心を突き動かされます。
前夜祭、本祭と2日間にわたって開催される神聖なお祭りで目にするのは鎧武者を先頭にした、甲冑を身につけた島民たちの武者行列。武者姿、白装束の氏子の行列は、まるで御魂が宿っているかのよう。侍大将が采配を振るうと、それに呼応して太鼓と武士が「オー」と、勇ましく返します。


神職が、元軍が攻めてきた西の海に向かって矢を放つ「鳴弦の儀」は、今も受け継がれる勇壮な神事です。国選択無形民俗文化財「命婦の舞」や地元の子どもたちによる「浦安の舞」、奉納相撲や太鼓演奏など、普段は静かな集落もこの日は多くの人たちで賑わいます。


かつての戦場が、祈りと誇りに満ちた熱気に包まれる特別な時間。訪れた人は忘れる事のできない光景を目にするでしょう。
(対馬感考案内人F)
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開催日前夜祭:2025年11月8日(土)
本祭:2025年9日(日)イベント内容【実施内容】
・神事(命婦の舞、浦安の舞)
・神幸式(武者行列)
・浜殿祭(鳴弦の儀)
【主催者・問い合わせ先】
小茂田浜神社
住所〒817-0248 長崎県対馬市厳原町小茂田742(小茂田浜神社)
アクセス:対馬空港から車で30分、厳原港から車で25分、
比田勝港から車で1時間55分
参加費:無料