対馬と聞いて、皆さんはどんな風景を思い浮かべるでしょうか。国境の島の歴史、青みわたる山々、豊かな海。その中でも特に、対馬を語るうえで外すことのできない重要な場所といえば・・・・島の中央部に大きく広がる「浅茅湾」です。複雑に入り組んだ入り江と、幾重にも連なる島影。対馬らしい風景を象徴する場所であると同時に、古くから人々の暮らしや交通、漁業を支えてきた対馬の海の玄関口でもあります。
九十九島や天草松島、瀬戸内海など、日本には多島美で知られる場所が沢山ありますが、浅茅湾を訪れて驚くのは、その地形の複雑さ。100を超えるともいわれる無人島が点在し、地図を眺めていると、あまりにも海岸線が複雑すぎて、どこまでが陸でどこからが海なのか、見分けがつかなくなるほどです。ただ単に絶景というだけではなく、幾千年もの歴史が深く重なり合う特別な場所で、まさに知の聖地。古代の金田城から近代の要塞群まで、浅茅湾の複雑な地形は、幾重もの時代を通して、常に日本の歴史の舞台であり続けました。この浅茅湾を展望台から眺めるだけでは少々もったいない!じっくりと魅力を探るなら、一度は海へ出てみるのがおすすめです。

浅茅湾の楽しみ方として、まず挙げられるのがシーカヤック。水面すれすれの目線で、島と島の間や入り江へ、自力で漕いで入っていく。エンジン音がないぶん、風や波の音、鳥の声が澄んで聴こえます。五感を研ぎ澄ますことができる格別の体験です。

そして、二つ目は「市営渡海船うみさちひこ」。湾内の集落を結ぶ定期航路、いわば浅茅湾の水上バスです。地元の人と同じ船に乗って集落のある港に停まるので、通学・通院や買い物客の人たちを見かけることもあって、ローカルな気分を味わうことができます。

3つ目は「貸切クルーズ船」で楽しむ方法です。実は、市営渡海船は、定期運航の合間に浅茅湾を巡る貸切遊覧船としても利用可能。定員45名なので大人数の場合に使いやすく、鋸割岩や城山、和多都美神社を海から巡ることができます。
また、市営渡海船以外の貸切クルーズで、ハタシママリーナが提供する定員12名の「チャータークルーズ」もあります。旅の人数や目的によって大型もしくは小型の船を選択できるサービスの一つで、1日2便、湾内の養殖場や和多都美神社を1時間半で回るコースが設定されています。

さらにこの夏「貸切クルーズ船」で、もうひとつ新しい選択肢が加わりました。空港からほど近い美津島町の竹敷にある運営会社、TSUSHIMA RESORT(対馬リゾート)が提供する「あそう湾プライベートクルーズ」です。
前述のクルーズよりも少ない人数に対応し、定員最大8名のコンパクトなクルーザーを貸し切って、90分または120分かけて浅茅湾を巡ります。
大型の観光船では侵入できない細い水路へ進んでいく希少なコースがあり、木々や岩肌がすぐ目の前に現れる景色はスリル満点!本当にこの先へ行けるのだろうかと、ドキドキしながら入り江を抜けると、やがて視界が開けて外海へ。この景色の変化を歴史のストーリーとともに体感できるのが、浅茅湾クルーズの醍醐味です。

入り江に入って奥へと回り込み、島と島の間を抜ける。普段とは逆に海から陸を見ると、島そのものの見え方が変わってきます。現在のような道路がなかった時代、人々にとって海は島を隔てるものではなく、人や物を運ぶ通路でした。大陸へ向かった人々は、この入り江から外海へ出るとき、何を思ったのでしょう。浅茅湾の美しくも険しい自然の中には、きっと神様がいるのだと信じて、尊い気持ちで見つめていたのかもしれません。そう思うと、目の前の風景が単なる”映える絶景”ではなくなってきます。

また「あそう湾プライベートクルーズ」ではガイドの同行も選択が可能。歴史を知ることで体験の深さが増すので、ぜひガイド付をおすすめしたいところですが、ガイドさん無しで自動音声機能だけの付帯利用も可能。目的やシーンに応じて選べるのも便利です。


さらに、浅茅湾をティープに楽しみたい方は、そのまま滞在するという選択肢もあります。「あそう湾プライベートクルーズ」と同じ敷地内には、宿泊施設・BBQが楽しめる施設も同時にオープン。お部屋のタイプも多種多様で、グランピングやワーケーションプランもあり、ご家族やグループ、一人旅、ビジネスの長期滞在にも適しています。昼間は船に乗って心ゆくまで冒険旅を、陽が傾く時間帯になったら、波音を聞きながら1日を振り返る。この海を往来した、いにしえの記憶に思いを馳せながら過ごす、究極の対馬旅スタイルです。

他にも、アウトドアを満喫したい方には、この夏リニューアルオープンした「あそうベイパーク」のオートキャンプ場もおすすめです。開放感のある場所でレジャーを楽しめ、昆虫好きの子供達は昼夜虫探しに没頭できます。
浅茅湾エリア注目の拠点で2泊、もしくはそれ以上のディープステイで、対馬への没入度はさらに高まることでしょう。島内を忙しなく巡らず、ゆっくりじっくり、ここに身を鎮めるのもツウな過ごし方の一つです。
(対馬感考案内人F)
〈information〉
●市営渡海船うみさちひこ
https://www.city.tsushima.nagasaki.jp/gyousei/soshiki/nakatsushima/chiikisinkou/tokaisen/850.html
●ハタシママリーナ「チャータークルーズ」
http://hatashima.co.jp/cruise/princess1/
●New Open/TSUSHIMA RESORT(対馬リゾート)「あそう湾プライベートクルーズ」
https://tsushimaresort.co.jp/あそう湾プライベートクルーズ